🧩 MCPとは何か?¶
Model Context Protocol(MCP)は、アプリケーションが大規模言語モデル(LLM)に文脈(コンテキスト)を与える方法を標準化するためのオープンプロトコルです。
🧷 MCPは、AIアプリケーションにとってのUSB-Cポートのようなものです¶
ちょうどUSB-Cが、あらゆる周辺機器とデバイスをつなぐ共通の接続口であるように、MCPは、AIモデルとツール・データソース・ワークフローなどを一貫した方法で接続する仕組みを提供します。
🚀 MCPの目的¶
MCPは、LLMをアプリケーションの中核的な知的エージェントとして機能させるために、以下のような 多様な「文脈の提供方法」 を標準化します:
MCPが提供する3つのコンテキスト手段¶
種類 | 役割 | 例 | 主な制御者 |
---|---|---|---|
📄 Resource | LLMが読む「外部情報・資料」 | ファイル、ログ、APIレスポンスなど | クライアント(アプリケーション) |
💬 Prompt | LLMにタスクを指示するテンプレート | コードレビューや要約の型 | ユーザーまたはUI |
🛠️ Tool | LLMが呼び出せるアクション | 計算処理、外部API、DB操作など | モデル(LLM自身) |
🧠 なぜMCPが重要なのか?¶
LLMを「単なるチャットボット」ではなく、高度な自律エージェントとして活用するには:
- 外部情報(📄Resource)
- 明確なタスク定義(💬Prompt)
- 実行手段(🛠️Tool)
の3つが必須です。
MCPは、それらを統一的・セキュア・拡張可能な方法で接続できるインターフェースとして機能します。
🔗 MCPのアーキテクチャ¶
MCPは、クライアント-サーバーアーキテクチャを採用しています。
flowchart LR
subgraph "Your Computer"
Host["Host with MCP Client<br/>(Claude, IDEs, Tools)"]
S1["MCP Server A"]
S2["MCP Server B"]
D1[("Local<br/>Data Source A")]
Host <-->|"MCP Protocol"| S1
Host <-->|"MCP Protocol"| S2
S1 <--> D1
end
subgraph "Internet"
S3["MCP Server C"]
D2[("Remote<br/>Service B")]
D3[("Remote<br/>Service C")]
S2 <-->|"Web APIs"| D2
S3 <-->|"Web APIs"| D3
end
Host <-->|"MCP Protocol"| S3
出典: MCP公式ドキュメント
構成要素¶
役割 | 説明 |
---|---|
ホスト(Host) | Claude DesktopやIDEなど、LLMを内蔵したアプリ。MCPクライアントを含む |
クライアント(Client) | MCPプロトコルを通じてサーバーと通信。ホストの中で動作 |
サーバー(Server) | 外部データや機能をMCP形式で提供する軽量なプログラム群 |
🔧 MCPサーバーの特徴¶
軽量で簡単な実装¶
MCPサーバーは、以下の特徴を持つ軽量なプログラムです:
- 単一目的: 一つのタスクや統合に特化
- ステートレス: 状態を持たず、リクエストに応答するだけ
- 言語非依存: TypeScript、Python、その他の言語で実装可能
研究活動での具体例¶
研究者向けのMCPサーバーの例:
- PubMed Server: 論文検索とメタデータ取得
- UniProt Server: タンパク質情報の検索と取得
- ChEMBL Server: 化合物データベースへのアクセス
- ローカルファイルサーバー: 研究データファイルの読み書き
🛠️ MCPサーバー開発のベストプラクティス¶
Claudeを使ってMCPサーバーを作る際は、以下の点に注意すると良いです:
1. サーバーを小さな機能単位に分割¶
- 単一責任の原則に従い、1つのサーバーは1つの明確な目的を持つ
- 例:PubMed検索専用サーバー、UniProt検索専用サーバーなど
2. 段階的な開発とテスト¶
- 各機能を作るたびに動作テストを実施
- 小さな機能から始めて、徐々に拡張していく
3. セキュリティの実装¶
- 入力バリデーションを必ず実装
- アクセス制御を適切に設定
- APIキーなどの機密情報は環境変数で管理
4. 保守性の確保¶
- 将来の保守のためにコードに十分なコメントを残す
- エラーハンドリングを丁寧に実装
- ログ出力を適切に行う
5. MCP仕様への準拠¶
- MCP仕様(型・手順・レスポンス形式など)に忠実に従う
- 公式ドキュメントを常に参照
- 標準的なエラーレスポンスを返す
✅ まとめ¶
MCPは、アプリケーションがLLMに「知識」「指示」「能力」を安全かつ柔軟に渡すための"USB-Cのような統一プロトコル"です。Resource・Prompt・Toolという3つのプリミティブを使って、LLMに文脈を与える手段を標準化します。
研究者にとっては、これまでバラバラだった各種データベースやツールを、統一されたインターフェースで利用できるようになる画期的な仕組みです。